屋敷女

c0154066_2354714.jpg屋敷女(原題:A L' INTERIEUR)

R-18 ※心臓の弱い方・妊娠中の方は鑑賞をご遠慮下さい。

《あらすじ》
クリスマス・イヴ。出産を間近に控えたサラは、自宅で一人、孤独に耐えていた。
夫は4カ月前の事故で亡くしている。そんな彼女の家を見知らぬ女が訪ねてきた。
不審に思いサラがとりあわずにいると、女は窓を割って進入を試みる。
サラが警察を呼んだことで一時は撤退するが、深夜、彼女が陣痛で目を覚ますと、そこには自分に馬乗りになって、腹にはさみを突き立てようとしている女の姿があった……。

(Goo映画より抜粋)

さて、いよいよ、シチュを聞いただけで鳥肌モノのこの映画です。
言っておきますがネタバレ全開でいきますよ?
(ラストにも言及してるので、追記にしときますね)
ついでに、この感想が男(勿論子供もいない)によるものであることを留意してくださいませ。
ようするに女性目線でも親目線でもない、ということね。



不思議なホラー映画です。

ともかく、「怖い」。
ヒロインンが臨月の妊婦なだけで、そのシチュだけでどんなゴア演出より「怖い」。
何もないシーンでも、「嗚呼、もしやここで陣痛が!?」とか、彼女がスクリーンに登場するだけで、もう「怖い」状態です。
他のキャラが乱入してそいつが《女》の犠牲になるターンになり、ヒロインが出ないとわかると、ホっとします。
だから、ホラー映画として見るとどうなんだろう、とは思います。
勿論ヒロインが直接的に襲われるシーンは勿論「ギャー!!!!」なんですが、他の犠牲者がゴアに殺されるシーンは、人心地タイムですからね。
妊婦というバックボーンが怖いだけで、ヒロインが絡まない部分はスラッシャーとしては全然怖くないんですよ。
次々と来ては《女》に殺される闖入者は、ある意味ギャグかもしれません。
そこらへんで、アレ?なんかこの映画、へん?って思いだし・・・

そして、ラスト。
私がもっとも自分が恐れていたシーン。
ぶっちゃけると、ヒロインが《女》に鋏で腹部をジョキジョキ裂かれるシーン。

何故か、あそこでホっとした自分がいる。

それは、明かされた《女》の動機によるものでは勿論なく、そもそも《女》の行為(生きたまま妊婦の腹を割き、胎児を略奪する)は、どんな理由があろうとも、とうてい容認出来るものではないですし、妊婦が文字通りズタズタにされていく様は痛々しいなんてレベルじゃありません。
(マジで容赦なくゴア的にズタズタです)
ただ、

「ああ、これで赤ちゃんは助かったな」

という、まぎれもない「安堵」が、激しい嫌悪感の中に、確かに、あったのでした。
直前にヒロインに襲い掛かりお腹を蹴りまくる男を、まるでヒロインを守るかのように《女》が撃退するシーンと、ヒロインの腹を裂くシーン直前の、ヒロインの死よりも出産が失敗するか否かの瀬戸際的状況と、《女》の産婆のような姿、「赤ちゃんの生」へ収斂される演出が、そう思わせたんだと思います。
まぁ、赤ちゃんが危機的状態に置かれた元凶も、その《女》なのだけどね・・・
それでも、ヒロインの母親としての未来と希望が理不尽に閉ざされたことよりも、赤ちゃんの未来が(とりあえず)保障されたことで、アンハッピーエンドにもかかわらず「安堵」という感覚を滑り込ませてしまう・・・
その構造に、いろいろな意味で鳥肌が立ちました。
(まぁ、それが万人の感覚ではないかもしれませんし、作品の意図したものと違う可能性はありますがね)

多分、私はこの映画のDVDを買うでしょう。何気にヘビロテになりそうな予感もあります。
閉鎖空間での追いかけっこモノとして悪くないですし、攻防に痛みと破壊が伴うゴア描写も良い。
冒頭の事故(直後の)シーンなんかのカメラも好みで、前半に挟み込まれるユーモア(看護婦やベンチのシーン)も笑えたし。
まぁ猫好きにはキッツイシーンがありますけどね・・・(よりによって黒にゃんこが><)
それになんだかんだ言って、妊婦目線で見ればこれほど理不尽かつおぞましいシチュもないです。
万人にはオススメ出来ませんし、冒頭に載せたコピーはまさしくその通り。ヤバイです。
でも、このインモラルな映画を観て最後に残るのは、やっぱ、

赤ちゃんって、すごいね

ってことなんだよな。(多分に逆説的ですが)
単に妊婦をいたぶりたいがためのサディスティックな変態映画ではない、と、私は思います。
うん、不思議な映画だったな。
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by rushiha666 | 2008-08-07 20:39 | 映画感想‐ホラー‐
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