アイ・アム・レジェンド別エンディング版

c0154066_235437.jpgさて、今更ながら「アイ・アム・レジェンド」(原題:I am Legend)の特典ディスク収録の『衝撃の別エンディング版』感想です。
まず最初に言っておくと、マシスンの原作小説に忠実なEDではありませんでした
しかし、私はコレは『アリ』だと思いました。
少なくとも、スタジオの意向で改変を強いられた劇場公開版の、放置された伏線は回収され、大きな突込みドコロはなくなっています。
また、新しいオチによって、その他の原作にはなかったいくつかのシークエンスが重要な意味を持っていることに気付きました。
うん。私は、この別エンディング版なら認められる。
これがDVD購入者しか観られないのは残念だな・・・というわけで、私と貸し借りな仲の方で興味のある人は声かけてくださいね。

では、細かな感想は追記で。
以下ネタバレ満載(画像もあるでよ!)なので、鑑賞予定者は気をつけてくださいね。




マシスンの原作は、《社会》がテーマなわけです。
主人公がモンスター(吸血鬼)だらけの世界で孤軍奮闘していたら、実はモンスターは新しい社会を構築しており、逆に主人公こそがこの世界でモンスターと呼ばれるべき存在になっていた・・・という《社会》の喪失、もしくは急激な変化に対する保守的な恐怖を描いたわけですが、今回の映画化(別エンディング版)は違います。

《社会》でなく、《生態系》。

冒頭、主人公が野生化した鹿の群れを追い、しかし獲物を同じく野生化したライオン(の一家)に横取られ、諦めるシーンがありますよね?
てっきり『どうだ、凄いCGだろ?鹿の群れが廃墟のNYを疾走してるんだぜ?』と自慢するためなのかと思ったら、とんでもない。
あそここそが、この作品を象徴するシーンでした。
(勿論、劇場公開版のEDではそこに思い至れるわけもないのですが)

さて、いよいよエンディング部分に触れます。
ラスト7分までは(たぶん)劇場公開版と一緒です。地下研究室の防弾ガラスの内側まで追い詰められたネヴィル達。ここで劇場版ではネヴィルは二人を逃がすため、ワクチンを託し、英雄的な自爆を遂げるわけですが・・・
劇場版では無意味に自己主張していた(ようにしか見えなかった)ボスは、防弾ガラスへの怒りにまかせた体当たりの繰り返しを(激情が沈静化したせいか)止め、窓越しに掌を動かし、何かの形を示し始める。
その跡にふと思い当たるネヴィル。
それは最後の夜に車の後部座席で娘が演じ、夫婦が揃ってすげなく扱った、「蝶々」の仕草だったから。
そして、ストレッチャーに載せたままの女性被験者の肩には、おそらく感染前に彫ったと思しき、蝶々のタトゥー。

そうなんです。ボスは、伴侶(しかも眼前で攫われた)を取り戻しに来てたんです。
それを察し、ストレッチャーを彼らの元に運ぶネヴィル。
ボス(まさに彼は群れのボスなんでしょう)と、ネヴィルによって覚醒させられたメス(ネヴィルはワクチンで人間化の兆候があった被験者を元に戻す)は、野生動物の家族同士がそうするように、お互いの額をこすりあわせ、喉を鳴らす。
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彼らは、「28週後・・・」の感染者とは決定的に違ったわけです。
原作版のように人間ほどの知性はないけれど、それでも群れとして機能する動物社会は構築され、そして、繁栄しようとしている。
原因は人間の遺伝子操作かもしれませんが、もはや、ちゃんとした別個の生物として生態系を築きつつあるわけです。

愕然として、ネヴィルは研究室に壁に張られた無数の被験者の写真、彼が実験のため捕らえ、結果的に殺してきた者達の無数の顔を見る・・・
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崩れ落ちるネヴィル。
そうですよね・・・彼らは「人間」ではなくなってしまったかもしれない、ネヴィルの感傷を打ち砕く存在かもしれない。
例えば、彼が泣きながら首を折ったサムも、確かに「サムという犬」でななくなったかもしれない。
でも、彼らの群れの中で、新しい生命として生きていけたに違いないんですよ。

ネヴィル達が、まるで彼らにNYを明け渡すように旅立つシーンは、道路際で人間などいないかのように遊ぶライオンの親子の姿と同じく象徴的です。

そのEDは、原作版の主人公が伝説的モンスターとして死ぬそれと比べれば衝撃度も低いし印象もたよりないものだけど、それでも、人間が何かを明け渡す物語として、そのマインドは継いでいるんじゃないか・・・と思いました。

まったくもって『私が伝説だったのだ』ではないですけどね!(笑)
最後に、ネヴィルが晴れやかな顔をしてるのも、ちょっと格好付けすぎだと思いますけどね!
まぁ、それはウィル・スミスだから仕方ないかw
それにしても・・・
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サムはやっぱり可愛いなぁ・・・やっぱりあのシーンでは泣いてしまいました><
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by rushiha666 | 2008-05-06 02:52 | 映画感想‐ホラー‐
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