ライラの冒険 黄金の羅針盤

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「ライラの冒険 黄金の羅針盤(原題:The Golden Compass)」
の、原作小説の出版社主催試写会に行ってきました。
予告編で見たダイモン(動物の形をした守護妖精みたいなもの)が可愛かったので、ちょっと興味あったんですよね。
で、観てみたんですが・・・

※以下、激しくネタバレにつき自己責任でどうぞ!
ちなみに、私は原作未読につき、そこらへんも考慮の上お進みください。
あと、勿論、完全な私の主観ですので、ご容赦を!




とにかく突っ込みどころが多すぎて・・・正直オイラの2時間を返して><

原作結構売れているしなにより各種児童書文学賞を総なナメにしてるし(カーネギー・オブ・カーネギーまで獲ってる!)そんな原作がここまでつまらないわけはない、と信じたいので、つまり・・・
全ての功罪は監督・脚本のクリス・ワイツにある。
ということになりますね・・・

文庫本2冊分を1本にするわけだから、当然ある種総集編的な展開にならざるをえないとは思うけど・・・コレは下手すぎる・・・
コレを見ると、いかにハリポタのシナリオの取捨選択が上手かったかわかります。

ダイモンという動物の形をした喋る妖精(守護霊?)を持っているのが当たり前の、《教権》が絶対的権力を振るう世界という設定は面白い。
ヒロイン、ライラの叔父アスリエル卿(ダニエル・クレイグ!)が平行世界の存在を示唆し、《教権》がその実在を糊塗しようと暗躍(早々にアスリエル卿暗殺を目論む!)するという展開も私好み。
(こりゃ確かに現実キリスト教会が反発するわけだ)

そう、舞台設定は悪くないのだ。
しかし、飛行船で大都市を訪れ、帆船で大海原を渡り、白熊(正確には鎧熊)の背にまたがり氷原を駆けるというスケール感たっぷりの展開にもかかわらず、全く心が高揚しない。
ファンタジーの基本である「うわ~!私も熊に乗って氷原を駆けたい!」という気持ちがこれっぽっちも起こらないは明らかに問題でしょう。

そういう雄大なシーンに至るまでの、あらゆる描写の積み重ねがなされてないのがいけない。
とにかく展開がダイジェストすぎる。
おそらく原作の見せ場を消化するのに忙しく、演出どころではなかったんでしょう。(駄目じゃん)
ダイジェストすぎるから展開も唐突で、まずコールター夫人(ニコール・キッドマン扮する悪女)がライラを寄宿舎から公然と連れ出せる理由がわからない。
これで学寮長(学校側)が《教権》に手も足も出ないのならわかるけど、序盤に《教権》の使者に毅然と対するシーンがあるので、よけいに「なんで?」。

で、学寮長は、コールター夫人に連れていかれるライラに作中の重要アイテムであるアレシオメーター(選ばれた者には真実がわかる黄金の携帯羅針盤)を、「コールター夫人には渡すな」と渡すのですが・・・
学寮長とライラのつながりみたいなものがさして描かれておらず、しかもコールター夫人はその時点でライラに好感を抱かれているはず(そう描かれている)なので・・・そのお願いをライラが忠実に守るのが不思議でまたしても首を捻る私。

で、コールター夫人が本性を現し、ライラが逃げ出すあたりからダイジェスト感は一挙に加速。
特に登場人物の出し方が酷い。
シーンが変わると「いかにも仲間になりそうな人物」が現れ、さしたドラマもなくやっぱり仲間に。
ここまで人となりが描かれぬ旅の仲間結成劇ははじめて見ましたよ。
当然、見てる側にはこれっぽっちの共感もわかないので、ここらへんで観客は置いてきぼりです。
とにかくアレシオメーターという便利アイテムの使い方がいくない。
怪しい魔女登場→アレシオメーター使用→いいひと決定、とか、信頼関係を結ぶ過程をすっとばせてしまえるのは、ドラマとして逆効果でしかないと思うのだが・・・
(ここらへん、原作はどうなのかなぁ)
鎧熊イオレク(声:イアン・マッケラン)の仲間になるシークエンスなんて最悪で・・・
鎧盗まれてやさぐれる熊→ライラ、アレシオメーター使用「鎧、あそこにあるよ~」→熊「マジ!?サンキュー!いっちょ取ってくる!君に忠誠誓っちゃうゼ!」→走り去る熊・・・
・・・そんな確認もせずにあんた・・・正直、熊が馬鹿にしか見えない(泣)

熊といえば中盤の王位継承の決闘も意味不明だったな・・・
だいたい攫われたライラがなんで鎧熊族んとこにつれてこられるの?
しかも、別段拘束されるでもなく。
さらに、ライラの素人目にもブラフとしか見えないブラフでアッサリ騙される現・熊王・・・やっぱり馬(以下略

そして、肝心の秘密基地(笑)もショッカーの秘密基地レベルで・・・子供攫って改造とか、ホント、ショッカーレベルだな・・・
しかもその子供の脱走を3回も許すとか・・・オマイラ真面目に仕事しろと・・・
そういえば、秘密の実験機械のスイッチを目茶目茶に弄ったら基地爆発って図、久しぶりに観たな・・・まさか最新のハリウッド超大作で見ることになるとは思わなかったぜ・・・

そして、最後の大決戦も・・・なんというか前述の各キャラへの思い入れのなさと、迫力のない演出とがあいまって・・・ぶっちゃけそこが最後の山場と思わずに観てました・・・
その直後、さてこれからラストシーンだな!と思ったらライラが
「あたしと仲間達でパパを助けて《教権》の野望を打ち砕いてやるわ!」
とわざとらしくブチあげたところで高らかなBGMとともにエンドロールに・・・えー。


アメリカでの興行成績は悪かったそうですが、こりゃ当然だ
ニューラインはこの監督は更迭すべきですね・・・つーか、続編製作もヤバイんじゃないかな、コレ。
そういう心配すらしてしまう出来です。
キャストはいいんですけどね・・・同じキャストで、いっそ作り直して欲しいところです。ほんっとに。

ちょっと面白いな、と思ったのは、魔女ね。
長命で空を飛ぶんだけど、攻撃魔法はナシで、武器が弓や投げナイフなんですよ。
ほとんどクノイチでしたw
こういう魔女像は初めてだったなぁ・・・
これでもうちょい乱戦シーンの演出さえ良ければな・・・
あと、いくら夜の氷原だからって、暗すぎたのもいけない。
せねてオーロラとかで幻想的に照らしてくれればよいものを・・・

ま、それはダイモンの消滅の効果を見せたかったからかもしれませんが。
人が死ぬと、ダイモンが火の粉のように散って消滅するんですよ。
これが視覚効果的にはひじょうに綺麗なんですが・・・
終盤にダイモンの強制分離の犠牲者(廃人みたいになってしまう)とか、ライラが分離させられそうになるシーンとか(このシーンの悲痛さはあふれる演出だけは突出していた)見せられてるせいで、私には下手なスプラッターより残酷に見えて、なおさら高揚感とは縁遠い境地で観終えましたとさ。

c0154066_13114262.jpgそんなわけで、原作のフィリップ・プルマン「黄金の羅針盤(上)」(新潮文庫)を購入。
「ここまでつまらないはずがない」
という確認のために読んでみます。
まぁ、今「けだもの」読んでいるし、その後は「狼と香辛料」の予定なので、ちょい先になりそうですが、一般公開の3月までに読めればな~なんて思っています。

あと、もしダニエル・クレイグ目当てでこの映画を観ようとしている人がいたら、やめといたほうがいいですよ。
ほとんどカメオ出演並の出番しかないので(汗
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by rushiha666 | 2008-02-06 13:17 | 映画感想‐SF・ファンタジー‐
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