最近の読書事情:あるいは『金星の尖兵』感想

スティーブン・キング「セル」(早川文庫)読了
   
さて、候補は山のようにあれど、どうもウィル版「アイ・アム・レジェンド」や「セル」の不満がしつこく燻っていて、ああいう「人間が似て非なる存在」に代わっていくSFかホラーで、風呂敷の畳み方が巧い小説なかったかな~なんて自宅の本棚を眺めていたら・・・ありましたありました。
エリック・フランク・ラッセル「金星の尖兵」(創元推理文庫)
・・・勿論。絶賛絶版中><
カバーに付いてる定価を見ると・・・なんと170円ですよ(笑)

「人形使い」「盗まれた街」「影が行く」タイプの侵略SFなんですが、主人公が超能力者であるところが変り種。

主人公は幼い頃の経験から自分が超能力(読心能力)であることを隠して生きているのだが、犯罪者のがなりたてる《心の声》が聞こえてしまい(彼は普段は他人の心の声を聞こうとはしないが、犯罪者の興奮、不安、葛藤などの感情は怒鳴り声のように聞こえてしまう)、それとなく警察を誘導して逮捕に協力することから、地元警察から、ちょっとした「名探偵」と目されている。
ある日、《断末魔の声》を聴いてしまい、ある警官殺しに関わるのだが、それとなく能力を駆使しある重要参考人に目星を付けた主人公は、その女性の心に《探り》を入れる。
すると、その女性は(普通の人間なら気付かないはずの)《探り》に驚愕し、その《心》が罵った。
『この、地球人の畜生め!』

探偵モノ+超能力SFと思いきや、ここで一気に侵略SFに変貌するわけだから吃驚しましたよ。
ここで、どれくらいの規模になっているともしれない宇宙人の侵略を阻止するため、主人公は軍を動かすことを決意するのですが、この主人公の頭の切れっぷりが気持ちいいったらありません。
たらいまわしを避けるためこれまた能力を効果的に使って、最短距離で権力の中枢に切り込み、見事将軍とパイプをつなぐ手腕とか、昔読んだ時も「カッコイー!」と思いましたが、やっぱり、カッコイー!

軍がからんでからは、一種のポリティカルサスペンスに変貌します。
彼の能力や推理を頼りに宇宙人に乗っ取られた人間の住処を軍が強襲したり、また、先の精神的接触で主人公を危険な存在とみなした宇宙人側の奇襲など、ここらへんは「24」っぽく映像化したら面白そう・・・
って、コレめちゃくちゃ映画向きじゃなの。なんで映画化しないんだろう??

そして最後まで「超能力」と「寄生型エイリアン」という二つの要素をバランスよく料理し、緊迫感溢れるクライマックスを演出した上、寄生型エイリアン駆除を都合主義や「必殺!大爆発!」ではなくキッチリと描いてあって・・・やー、上手い。
気の利いたラストなんかも含め、やはりこの小説は大好きだ。
出来れば著者の「超生命ヴァイトン」や「大いなる爆発」なんかも読んでみたいところだけど・・・古本屋で見かけたことすらありません。
さすがに、古い作品ですからねぇ・・・
と、いうわけで「金星の尖兵」も読了。
   
先日の「Black Sheep」に続き、そろそろ「The Girl Next Door」を観ようかしら?
じゃあ、その前に原作本、ジャック・ケッチャム「隣の家の少女」(扶桑社ミステリー文庫)を再読しておこうかしら?
   
「隣の家の少女」・・・第1章で挫折・・・orz
・・・やっぱコレは早朝の通勤電車内で読むべきではないですな・・・こう、1日の仕事のモチベーションに影響があるというか・・・
『再読のくせに何言ってんのよ』
と言われるかもしれませんがね?
どう頑張っても「あの結末」にしかなりえないことを了解した上でその過程を見続けるしかないというのもまた、一種の拷問ですよ?
嗚呼、でも映画の前に再読はしたいんですよ・・・やはり結末のショックがデカくて、特に序盤の細部は結構忘れているのが今回判明しましたからね・・・
いずれは・・・避けては通れぬ道なのですが・・・あああああううううううあああああ

ところで、ウチの店で絶賛展開中の「ジャック・ケッチャムのトラウマ・フェア」の売れ行きを先日調べてみて吃驚。
「隣の家の少女」売り切れてました♪
再読を躊躇しておいてなんですが、いやぁ、嬉しいな。
・・・なんか読者の何割かは二度と来店してくれないような気がしますが(汗
あ、勿論追加はしましたYO!
   
そうやってすったもんだするうちに先日の記事中でスキップ&スペクター「けだもの」(文春文庫)に触れ、あ、そういえば結構細部を忘れている気がするし、久しぶりに再読してみようか?
というあたりで現在に至ります。
近いうちに「けだもの」感想をUP出来たらな~なんて思います。



余録:
今月の角川文庫は、何故かホラーっぽいタイトルが多い。

田中啓文「蠅の王」
吉村達也「マタンゴ最後の逆襲」
大石圭「檻の中の少女」
牧野修「バイオハザード アンブレラ・クロニクルズSideβ」

田中啓文氏と吉村達也氏はどちらも読んだことのない作家なんですが、どうなんでしょうね?
特に「マタンゴ」はモロ映画の続編なので余計に気になる。いや、映画は未見なんですけどね。
大石圭氏の作品は「ただのポルノ」だったりすることもあるので、うかつには手を出せない・・・
やはり大石作品はPON氏にまかせるのが無難か(笑)
牧野氏は・・・読んだことあるのは映画のノベライズである「サイレントヒル」だけなのだけど、映画の良さがこれっぽっちも伝わらない文章に絶望した記憶しかないので、アンブレラ社の末路は気になるものの、やはりスルー。

それにしても、つくづく翻訳派だなぁ、私は。
翻訳モノだとホイホイ買ったりするから不思議です。
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by rushiha666 | 2008-01-26 22:46 | 小説
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